先日読み終わりました「曾根崎心中・冥途の飛脚・心中天の網島」。
基本的には、遊女と深い仲になった店の主人や跡取りが、
恋を成就させるため心中を図るというもの。
理由はそれぞれだけど、この3話の中で一番好きなのは「曾根崎心中」ですね。
主人公徳兵衛も遊女お初も、全然悪くない。
なのに何で死ななきゃならないの…。
2人はお互いにもうお互いでなくては生きて行かれないほどの深い中で、
何もなければお初の年季が明けるのを待つか、身請けが出来たかも知れないのに、
もう、周りの人達のせいで死ぬより外に道がなくなってしまう。
特に、友達面した九平次が腹が立つ!!
コイツがもう極悪人過ぎ!!
「冥途の飛脚」と「心中天の網島」は、ダメ男と、そんなダメ男を愛してしまった遊女のお話。
「冥途の飛脚」の飛脚屋の跡取り養子忠兵衛は、遊女梅川に入れ込んで、店のお客のお金を
使い込んでおり、なんと他の客に身請けされそうになったのを防ぐため、梅川の身請け代まで
お客のお金で払ってしまった。
「忠兵衛、ダメだってーー!!」って思うし、忠兵衛もダメだと分かってるんだけど、
色々な男の意地やら何やらで、嘘までついて、小判包みを開封しちゃう場面は
ホントに悲しい。
真実を知った梅川の「ホントに仕方のない人ね、でもそうさせたのも自分、
そんな男を愛してしまったのも自分」って思っているんだろうなと分かる描写が
また悲しい。
使い込みはもちろん犯罪、忠兵衛と一緒に逃げた梅川…忠兵衛がダメ男って
分かってるのに、忠兵衛じゃないとダメなんだよね…。
気持ちが分かるだけに切なかった。
「心中天の綱島」の治兵衛は、妻子ある身でありながら遊女小春に入れあげ、
心中の約束をしてしまうんだけど、2人を会わせないようにした楼主のはからい、
周囲の忠告、妻や小春の気遣いも分からないダメ男なの。
3人の中でコイツが一番勝手でダメ男だと思う!
でも、妻も小春も頭の良い、優しい情の深い女性なの。
この3話を通して思ったのは、この世で結ばれないならあの世で、とか
死ぬなら一緒、とか、そういう気持ち分かるし、そこまで思える相手に
巡り合えるのって形はどうあれ幸せだよね、と。
すごく短いお話なので、読んだことのない方、お勧めです!
角川ソフィア文庫から出ている、現代語訳が付いているものは
読みやすいですよ。
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